始まりの予兆戻る 小説へ 進む物語の始まりは私が守護している闇夜が襲われてから始まった。
そのとき私はその場にいなかったけど、確かに予感はしていた。
これから何か起こるだろうと。
私にはこの見かけぬ卑屈な男たちが事件のきっかけだった。
考えてみればそもそも、ここに黒き翼をいること自体おかしかったのだ。
「神官様!大変です。植物が暴走して、仲間が食べられて」
そういった男はがたがたと震えいた。
「どこですか?」
花紅露が声をかけると男は震えながらいった。
「緑園の森です。たぶん妖気が漂っているのですぐ分かるはずです」
男はそれが限界とばかりに地面にふさぎこむ。
「一人で大丈夫か?」
「はい。それより仲間を」
花紅露は急いで緑園の森に行った。
緑園の森は男が言ったとおり異様な妖気が漂っていた。
いつもは精霊たちが囁きあい休みに来るほど澄んだ森なのだが。
精霊たちはどうしていってこなかったのだろう。
おかしいと思いつつも今の私には急ぐしかできない。
あそこか
そのとき私は油断していたのだろう。
後ろから迫り来る異様な蔓の存在にきずかなかったのだから。
目が覚めたとき私はとても自分以外の誰かに目を向けることさえできなかったのだが。
私の身体には何十本もの太い蔓が絡み付く。
私の視界はもちろん呼吸さえもする億劫だ。
きつく締めつけられた身体は所々変色さえしていた。
私は何とか空気を取り入れようとあえぐので必死である。
普段はやさしい植物は今は私を攻めたれる凶器となっていた。
何とか力は解放しないようにしているがいつ暴走してもおかしくない。
罪のない植物を枯らしてしまうのは嫌だった。
それに私を捕らえた理由を聞き出したかった。
だいたい見当は付いていたけれど・・・。
「あれ?今日は、花紅露は来ていないのですか」
私は朝食を食べるための席に着くと自分の守者がいないのに気づいた。
いつもだったら守者の花紅露が先に来ているはずなのに。
私がどんなに早く来てもあいつは私より先に来ていた。
あいつは何を考えているかさっぱり分からない。
行動すら予測不可能だ。
そんなアイツが私の身を守る守者なのは
あいつの能力が他に比べ率い出でいるからである。
私が見ている限りそんなそぶりはまったくないが。
雰囲気は確かに熟練した剣士のようなものであった。
服は守者専用の制服。
ご丁寧にいつもフードをすっぽり目まで被り体の体系まで隠しているのだ。
そのうち顔を拝んでやろうかなと度々考えている。
「来ていないようですよ、闇夜。
何か揉め事でもあったのでしょう先に食べておきましょう」
二番目の姉未牡(みお)がそういった。
未牡は肩ぐらいまである黒髪でいつも二つくくりをしている。目も同じ色だ。
性格は親しみやすいと思う。
私にとって二番目の兄行生(ゆきお)は
まったく敬えるところがなく、感情が激しくプライドが高く無謀な人だ。
周りを見てみるとあいつ以外は全員集まっていた。
これ以上待たせるわけにはいかないだろう。
「はい。未牡姉さん」