プロローグ
 
ここは栄えある我らの白き翼の国
王家を敬え、自然を愛せ、己を満足させよ。
さすれば我が国は永遠にその富を残すことができようぞ。
人を愛せ、人を導け、時として人に罰を与えよ。
それが我ら白き翼の神の役目。


恋の始まり
 
これは、私が生まれたときの話。
本来なら、たった一週間で生まれるはずだった。
しかし、私は夫婦が諦めていたにもかかわらず、
三年という期間を経て生まれた。
混乱を避けるため夫婦は私のことを黙秘していた。
そのため本来なら一番年上のはずの私が
末女になるというおかしなことが起こった。
それは、兄姉達に伏せられた事実。
唯一知っている、兄レオは、私を同等としてみてくれる。
が、生まれた時は、孤独だった。
他の兄姉と違っていつ生まれるか分からなかった
私の玉は外界から隔離されていた。
親の顔を見ることもなく、生まれてからほんの幾日で、
になる者への知識が、私に送られ終わった。
いくらたっても両親は来ず、
この部屋からの出かたも分からなくて暇な時だった。
ふと部屋の一角を見ると
土から顔をだし、
太陽の光を周りの草とともに浴びていた花があった。
 
一輪だけ真っ赤花が・・・。
 
私は、どうしても、触りたい衝動に駆られて、手を伸ばした。
ゆっくりと花びらを持ち上げるように触る。
それに触れていたら、心がとても落ちついた。
まるで何かに守られているようで。
私はあまり握っていると
花が萎れてしまうと思い、手を離した。
『サラサラサラ』
っと花が粉々になって跡形もなく消えた。
その瞬間、私は空虚を覚えた。
寂しかった。
虚しかった。
そんな思いが駆け巡っていた時、
ひょっこり現れた男の子。
その子は私をやさしく慰めてくれた。
闇のものだと一瞬で分かったが、魅かれた。
いけないことと分かっていても、無理だった。
それは、お互いだったらしい。
年齢は分からなかった。
神や悪魔は生まれてすぐでも
大人の体をしているものもいるのだから。
 
小さな闇の王子が、小さな聖の王女に、
ニコッと笑いかけながら言う。
「闇夜(やみよ)ちゃん。おおきくなったら、結婚しようね」
聞き違いのない堂々とした告白。
それに、小さな聖の王女。
闇夜が、まんざらでもなく、微笑み返す。
「うん。でも、私。もう一人、好きになってると思うの。いい?」
闇夜は、自分の奥底にある何かを
きっと上手く言い表せてないなと思いながらも懸命に伝える。
彼は好きだけど何か・・・足りないような気がする。
「いいよ。でも、今は僕だけを好きでいて」
そう言いながらギュッと抱きつく。まるで不安だというように。
闇の王子は縋りつくかのように上目遣いで目を見た。
「好きよ黒(ブラック)」
不安を払拭するように聖の王女は
ゆっくりと抱きしめ耳元で優しくささやく。
「僕も」
闇の王子は愛の言葉を贈り返す。
それは、闇夜が、生まれて3日目。
黒が、生まれて、1年と半年をすぎた頃の話だった。

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