始まりのメドレー4
別に負けるとか勝つとかそんなことは考えてなかった。
ただ楽しみたかっただけ。
この森は変化を良しとしない雰囲気がある。
同じことの繰り返し、そんなものには飽きていた。
仕方ないから、塔の中にある本を読み漁っていた。
そうしたらもとあった魔力もかなりあがり、今は簡単なものなら呪文なしでできる。
弊害ももちろんあった、灰色の夢をよくみるのだ。
このことはレックナート様に言ってない。
でも気づいているんだろうってなんとなくだけど思うんだ。
あれが未来だなんて思うと気がめいってくる。
唯一の救いはあれが未来とは限らないということだ。
法と秩序。
僕の中でこの二つがもっとも有力な未来である。
「おい!聞こえてんのかよ」
ルックは今気づいたといわんばかりにゆっくりと下を見下ろす。
戦いの余波を食らわないように木の上にいたから、日焼けはおろか傷ひとつ負ってない。
対するはぼろぼろの人々土があちこちについてる。
あっ勝ったんだ。
クレイドールの気配がなくなったのでそれだけは分かった。
「ずいぶんと長かったんだね」
ルックはピョンと樹から飛び降り呟いた。
「あぶねぇな」
危うくぶつかるところだったとテッドは顔をしかめた。
「いい加減にしろ!」
突然、ファオとテッドを割ってパーンはルックを叩こうとした。
パン
風がパーンの右の甲を打ち払ったのだ。
「パーン大丈夫ですか?」
グレミオが問いかけるのにも気づかず、パーンは自らの甲を呆然と見詰めた。
「君はどういうつもりなんですか?」
クレオはルックに問いかけた。
「見た目と年齢で判断する大人ほど愚かしいものはいないね。」
ルックはただテッドを見てはなす。
テッドは見ているものをぞくっとさせる笑みを浮かべた。
幸い、後ろにいるクレオたちにはあずかり知れぬことだった。
「テッド」
ファオは訳も分からずただ尋ねた。
「なんでもないよ。ファオ」
その顔には見覚えがあった、叱られてる時に俺に向ける笑顔だからだ。
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なんだかブラックな空気が漂ってます。