くまさん。前編ルックははじめてそれを見たときから
幻水 次へ
なんてあったかい生き物なんだろうと歓喜していた。
自分より大きくて怖くてそれでも
自分を包む腕はやさしくあったかい。
身体につけた毛は少しくすぐったいけどほかほかやわらかい。
それとはあの塔を出てから会えなくて悲しかったけど、
レックナート様の言いつけにはさからえない。
というよりあそこから出してもらった恩があるから
無下にできないといったところだろうか。
とりあえずこの戦争が終わるまで
見ることはないと思っていたものが目の前にいた。
ルックは恐る恐るといった様子で近づき
それと同じだと確認すると目の前のそれにしがみついた。
このとき一番困っていたのは周りではなくやはり抱き疲れた本人だった。
もちろん回りもそれなりに困惑している。
何せあの言葉にとげがあり
子供らしくない子供のルックがあのビクトールに抱きついたのだ。
いやみを言ってくるなら分かるが抱きつくとなると話は別。
興味津々といった様子で周りがビクトールを見ている。
ビクトールは周りの視線+おなかの辺りにいるルックに悩まされた。
このときビクトールはルックを知らなかったため事態は重い。
ビクトールは仕方なしにルックの手をのけようとした。
ルックはもう少し
この独特の温かみを味わいたかったためギュッとしがみつく。
せっかく見つけたくまさんだ離さないもん。
さすがにもう一度離されそうになった時は手をほどいた。
大人気なかったかもしれない。
ルックは少してれながらも顔を上に上げた。
熊さんはどうやら話しやすくしゃがんでくれたみたいだった。
優しそうな目だった。
ルックはうれしくなって微笑む。がある理由で目を見開いた。
「ぼうず名前なんていうんだ」
熊がしゃべったのだ。
う〜ん。暖かい話にしたかったのは確か。
本当は1ページにまとめたかったけど多すぎたからわけました。
エイプリルフールと一緒に思いついた話。
あっちはラブラブして欲しいのに冷たい。
こっちのほうが仲いいのはなんでだろ?
ふぅ。思いついたのは一緒の日なのに、こっちの話が長かったりする。