夢箱 出会いは唐突に 3

目が覚めるといつものベッドで寝てないこと驚いてしまった。
だが手元でスヤスヤと寝ているサタンを見ると瞬時に状況を理解した。
結局サタンは俺に抱きついて離れなかったらしい。
サタンのまつげが数回揺れる。
もうすぐ起きるのだろう。
サタンは焦点の合わない目で俺を見ると
「父さま」
といって慌てて手を外す。
「おはようサタン。客室のベッドの寝心地はどうだ?」
俺は起きあがるとサタンの耳にそう囁いてやった。
サタンはどうやら朝には弱い体質らしい。
理解するのに数秒かかった。
「あのまま倒れたのか。しかし何故、俺の部屋でないのだ?」
なぜ俺の部屋へ連れて行かない。
サタンがそう目で訴えているように見える。
それに俺を殺してもよかったはずだ。
「サタンが担がれてきていいと思うか?俺は厄介事ごめんだ」
俺は軽く肩を鳴らす仕草をした。
「ということはおまえのその魔力で入ったのか」
どうも今の俺の魔力で入ってきたのが気に入らないらしい。
ましてやここは一等の客室だ。
通常神には魔力なんてものは存在しない。俺は異例中の異例だ。
こんな俺がギャアギャア祈りで騒がれないのは
魔力をコントロールできるからだ。
逆にこっちに来たときは聖気をコントロールしている。
まぁサタンに言っても仕方ないから
「あぁ」
と生返事をした。
「執事の好みはその顔か・・・」
とサタンは呟いた。
俺は少しだけほんの少しだけだが、
昨日の執事を気の毒に思ってしまった。
「礼は何が良いか」
殺さぬのならそれが目的であろう。
サタンはかなり悟りきった様子でいった。
が、自分の言動に少し驚いていた。
こいつくらいならすぐにでも殺せるのになぜ褒美など取らせるのだ?
つい抱きついて寝ていた体が温かかったからか?
俺はとっさに答えた。
「サードニクス」
は宝石の一つで暗く紅く繊細に時折輝く。
淡薄き島では手に入らない代物だ。
かといってサタンでも滅多に手に入れられず希少価値な物である。
「柚迂利(ゆうり)入れ」
サタンがそういうと昨日の執事がどこからかサードニクスを台に乗せて持ってきた。
かなりいい代物だ。でもなぜここに執事がいる。ずく近くに控えていたとしか思えない。
だいたいサタンがここにいることを不思議に思わないのか?
「何個でも取るがいい」
まさかもらえるとは思わなかった。
俺は遠慮なく全部貰いたい気持ちを抑え俺にあったサードニクスだけを選ぶ。
サードニクスは個々によって効果が違う。
例えば俺がこの光の鈍い(全然俺にあわないような)サードニクスを選ぶと
サードニクスは簡単に壊れてしまう。反対に透き通るようなサードニクスを選ぶと力が出過ぎて困る。
「取った」
俺は手に十五個ほどのっけた。
「おや?昨日と気配が違いませんか」
柚迂利は首を少し傾げた。
 
「世話になった」
「いえこちらこそ。あの担がれたお方が、サタン様だったとは思いませんでしたよ」
執事は大仰な態度で返した。
 
そうこれこそが俺とサタンの出会い。
この当時の俺は、歯車が回り始めたのをまだ知らなかった。
今思うと、助けたことが不思議でならない。

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