出会いは唐突に1
初めましてというべきかな?
俺はアイノ。アイノ・シルバーク。
生まれは泡薄き島の祈りだ。
まぁ大抵いるのは、サタンの阿修羅。
性質が違う二つの国を俺は行き来している。
淡薄き島という国は色で例えるならば、
まだ汚されたことが無いといわんばかりの白。
町の端は知らないが、大抵、穏やかな時を刻んでいる。
この国の多くのものは平和を願い暮らしている。
それに反して、サタンという国は色で例えるなら
どんよりとした黒。
阿修羅は何が起こるか分からない。
暴行や法(元々あまりいい法とは言えないが)を無視した行為
などが町の雰囲気にまで伝わっていたいてた。
正反対の国が仲がよいわけはなく、淡薄き島の住民には極端に嫌われている。
大抵どちらも敵視しているものだから、余計に仲が悪くなる。
それなのに俺がサタンに行く理由は主にこの顔のせいだ。
俺は地位の高い悪魔とも言える容姿を持っているが、悪魔でなく神だ。
泡薄き島の住人のため悪鬼を滅ぼし滅す。悪く言えばただの殺し。
そんな俺みたいな神のことを祈りでは闘神と呼ぶ。
神なのに悪鬼を殺すと体が震えてくる。
そう俺は、殺しを楽しんでいる奴ら(悪鬼)と一緒だ。
そして、俺は今日も狩りに出かけようとしている。
ここは阿修羅。誰も俺が、神だなんて気づきはしない。
もし、いたとしたならそいつはサタンの監獄行きだろう。
俺は自慢の脚力を使って、町の中を飛び回っていた。
どうも町の様子がおかしい。
これくらい飛び回っていたら人とあっても良いはずだ。
それに、いつもより人の気配が少なかった。
どういうことだ?
不思議に思いもう一度あたりを飛び回った。
少しいくと四人ほどのまとまった気配が
一つ向こうの路地裏にあった。
俺がその路地裏に屋根から飛び降りてみると、
そこではありきたりなことが起きていた。
いかにも筋肉馬鹿な悪魔が三人、何かを覆うように立っていた。
見えなくてもだいたい予想はつく。
これでこそ阿修羅だな。
天界の住民に聞かれたら顰蹙(ひんしゅく)をかいそうなことを俺は考えていた。
「お兄さん助けて」
そいつらの隙間から見るからに弱そうな少年が俺に助けを求める。
俺はそれを無視した。理由は簡単。
涙を流していたが、こいつは絶対に助かると確信していた。
おまけに涙を流していながら楽しそうだ。
俺はそういう相手の心の奥にある意志を読みとる能力は、
かなり長けていた。
俺の感が今まで通り発揮されているのだとしたら、
あの少年はかなりの腕前のはずだ。
こっちがやり合いたいほどに。ふっ。
頭の中で総合した結果。俺は傍観者に徹することに決めた。
決めたからといって、何かするわけでもなく。
だた壁にもたれかかる。もちろん相手にする気がないことを証明するように
わざと楽しそうな目線を少年のほうに送ってやった。
か弱そうな少年に襲いかかってる奴らは、邪魔さえ入らなければいいらしく、
一度こちらを見たきり、もとの状態に戻った。
変わったここといえばただ一つ。
か弱そうな少年の目が一瞬ランランと輝いたぐらいだろう。
男たちは少年に向きなおると、
「さっさと魔力渡しな。それとも犯されるのが好みかな?」
といやらしく言ってきた。
ここ阿修羅では大抵の厄介事が魔力を渡せである。
当たり前といえば当たり前だ。
ここは力が全ての国サタンなのだから。
奪う手段は2通り。犯すか手っ取り早く貰うか。
俺は身にまとっている魔力は抑えてはいるが強いので奪うなどの行為はしたことはないが
少年を襲っている筋肉馬鹿どもはそれほど強くない。
この阿修羅に始めてきたような奴や弱い奴専門の奴だろう。
ただあいつらは知っておいた方がよかった。
そんなやつら目当てにわざとか弱いふりをする者がいることを・・・。
訂正12.20