神具


建物に邪魔されることなく吹きつける風の中、アイノはそっと目をつぶり
ただ静寂の中に身体を落とした。
何かが自分の脳裏を掠め刺激をしている。
雲を掴むような感覚でその根源を探す。
うっすらと聞こえてきたのは水滴が滴り落ちた音と、岩を削りながら流れる水の音。
まれにキィキィと鳴く声。
その空間がしっくりと自分の中に入っていくような気がして、ゆっくりと警戒心を緩めた。
くらい洞窟、青一色の・・・・・・
もっとそこに意識を飛ばそうとした時、アイノは不意に呼び止められた。
「お〜い。アイノなにやってんだよ」
目を瞬かせ声の主に目をやる。
透き通るような黄緑がアイノの目にまぶしい。
せっかくの楽しみが邪魔されたがアキラと認識し少し気分がよくなる。
「波動を感じる」
ただ、喜ばせたくてそう口を開いた。
その言葉は説明不足でもあるに関わらず相手には伝わったようだ。
目をはっと見開き自分に詰め寄ってきたからだ。
「ほんとか?」
その問いには答えず手を取り自分の意識をアキラに重ねる。
アキラは俺の意図に気づき同じように目を閉じた。
同調だ。俺が見たままのもの、聞いたものをアキラに見せた。
「ホントだ。アイノ取りに行くのか?」
アキラは期待した目で見つめた。
その目があまりにも嬉しそうで俺は苦笑しながら言う。
「あぁ、でもお前は俺がいない間の警備を頼む」
「なんだぁ。ちぇ」
アキラはがっくりと肩を落とした。
「いいなぁ。アイノ魔剣見つけられて、俺まだそんな気配ないんだ」
魔剣は持ち主を選ぶ。ゆえに持ち主となったものに最強の力を与えるといわれている。
そのため望むものはとても多い、アキラもそのうちの一人だ。
アイノは知識とは入れていたが出会うとは思っていなかった。
アキラはアイノを見て改めて自分が魔剣を求めてることを知る。
あぁどんな感触だろう自分のためだけの魔剣。
アキラはまだ見ぬ剣に夢を抱いていた。 

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載せ方変えます、みずらくてごめんなさい。

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