02、魔法を使うひと
気分が悪い。
無理やりここに連れてこられた性ももちろんあるが
ソードのこのにこやかな笑顔の性だということは間違えなさそうだ。
「なぁにむくれてるのプ・レ・ア」
ついでに言うと頭もなんだか痛い気がする。
なんでこの人はこんな言葉遣いなんだろう。
かわいいがこの人は男だ。
なまじセレスよりかわいいから厄介なのかもしれない。
「プレアもう少しでつくから待って」
カタカタとなる車輪の音がすごく旅をしているんだという気になる。
この馬車は一体どこに行くというのだろう。
思えば俺は旅と聞いた時点で嫌だとしかいってなかったから何も分からないんだ。
……このこと妹たちは知っているのだろうか。
知っていなかったとしたら。
「セレス、この旅の目的は何だ」
えっ彼女の目は数回こちらを見て瞬いた。
「!!私、プレアに理由話してなかったわ」
セレスはあたふたしてソードの服の襟を持ってぐらぐらさせた。
「セレス、落ち着こうね」
ソードがセレスを諭すように言うと彼女は深呼吸してこちらを向いた。
「ふぅ、あのねこの異常気象をなおすことができるメダルを取りに行くの」
「メダル?」
メダルなんかでこの異常気象は直るのか?
それにどうやって。
プレアはじろっとソードを見た。
「そこら辺は僕も知らないんだ。セレスの知り合いの魔法使いがある書物でそのことを発見したらしい」
「そうなの。だから今はそこに向かっているの。
彼が言うにはそこにはたくさんの魔物が溢れてるからプレアが必要だったの」
「ソードがいるんだったら俺は行く意味などないだろ。」
俺は意地の悪い言葉をセレスに投げかけた。
「人は集めたいわ。いくら大審院に選ばれたといっても協力してくれるのは魔術師一人」
俺たちは捨て駒か。
「プレアそんなに悲観するんじゃないよ。その魔術師は黄金色に導かれしものの一人。
時期、大審院の一人となる人だというのだから」
ソードはオレの気持ちを見抜いたように話しかけていた。
「う〜ん。それにしても懐かしいわねプレア。」
プレアはその言葉につられるように窓から風景を覗き込んだ。
馬車はすでに森を抜けていてすっかりオレの知らない風景になっているとばかり思っていた。
ここはあそこなのか。
身体が知らずと震える。
何度も何度も見た懐かしい森。
子供の頃はわざわざ一人で出かけていってそこであいつらと遊んだ。
それなのに拳が振るえ制御ができなくなりそうだ。
だめだ見てはいけない。
「懐かしいってここに来たことあるのぉ」
人好きする笑顔を浮かべソードはセレスに話しかけた。
剣を握っているときと大違いだ。
「うん。私たちこの近くにある町に住んでいたの。
楽しかったわ父の転勤で結局こっちに来てしまったけど。
協力してくれる魔術師ディサイアなのよ。プレア懐かしいでしょ」
ディサイア……昔、俺が無邪気だった頃の友人だ。
俺はちょっとしたことでもよくあいつに話してたな。
しかし、今は彼に会いたくはない。
彼はあの頃の俺を知っている。
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この流だと次誰が出てくるか丸分かり。
プレア……この話の主人公。冷徹だが、ソードに弱い。長剣を使う。
セレス……プレアの姉。少しの攻撃魔法と補助、回復魔法をあやつる。プレアに頼って欲しいと思っている。
ソード……プレアの剣の師、女のような容姿をもちぜんぜん男らしくない。すぐ回りに溶け込むという役に立つ人
で剣を持つと人が変わる(セレス談)